衆院選における民主圧勝について2009/08/31 22:15

日曜深夜から月曜早朝にかけてテレビの選挙報道を見続けていたため月曜の日中は眠かった。

今回の選挙結果は「選挙民が民主党を積極的に選んだ」というよりは「もう自民党はいいから」という選挙民の感覚の受け皿を民主党が演じたということだとおもう。民主党は自分たちが積極的に選ばれたのではなく、消去法的に選ばれたのだという認識をしてこれからの政局運営に当たるべきであろう。

それでは民主党は何をすれば、政権を維持できるのだろう?これはひとえに「民主党意外にやるじゃん。今度の選挙も民主で行こう」と選挙民に思わせるような政策を打ち出して実行してゆけばすむ。

それでは民主党は何をやれば「意外にやるじゃん」になるのだろうか?

ヒントは1967年~1979年まで12年間続いた美濃部亮吉都政にあると思う。美濃部都政については「東京都に膨大な赤字を残した」といった批判がある。しかしその点を見ていては美濃部都政の意義を見失う。美濃部都政の意義はそれまでの国の高度経済成長路線の体現であったような都政の流れを大きく福祉や公害対策へと方向転換させた点にある。公営の図書館の整備、公害企業の摘発、老人用の無料乗車券の発給…、建設一本やりであった東竜太郎都政に比べ「こんなにも変わるものだ」と思ったものだ。今、石原慎太郎といえども表立って福祉や公害規制の見直しは云々できない。このような流れをつくったことこそが美濃部都政の意義だ。

民主党にも55年体制といわれるこれまでの自民党の政治と異なる流れを作ることに期待したい。私はその「異なる流れ」とは高福祉社会の実現であるべきだと考えている。まずこの流れを作ることだ。高福祉社会が実現するにつれお金がかかり、高負担の必要が出てくるだろうが、先ず国民に高福祉社会の恩恵を与えてから高負担をお願いしてゆけばよい。この流れを作ることに成功すれば民主党はその存在意義を果たしたことになり、再選の確率も安定してくるだろう。

美濃部都政の場合、在任中与党である社会党と共産党が都議会で過半数を握ることはなかった。与党の社共の間も必ずしも一枚岩ではなかったので、過半数を取るために絶えずキャスティングボードを握る公明党との政策調整を余儀なくされた。衆院で308議席を単独で確保した今の民主党にはこのような足かせはない。足かせといえば、弱気のときに社民党と国民新党との間で連立政権を作ることに合意したことだ。両党にはそれなりの礼を尽くすにしても、その昔英国のThe Economist誌にdreamy socialists(夢見る社会主義者)とその非現実性を揶揄された社会党の残党と、自民党の中の一番古い体質の部分を体現する国民新党にマトモにかかずらわってはならない。独自に大きく高福祉社会へ日本の軌道を修正していってほしい。

水のなるほどクイズ2010