日米株価を考える--日本経済新聞ってホントただの業界新聞2016/11/17 17:24

これまでこのブログで日経新聞の偏向報道についてあれこれ書いてきたが、11月17日付の日経新聞オンライン版に掲載された「日米の家計格差が拡大 原動力は『ボーグルの愚行』」という記事を読んで「ほんとこいつら救われない」という念を新たにした。

記事はインデックス投信の米国Vanguard社の訪問記第2弾で、いかに同社が苦心してインデックス投信に対する理解を米国に広げていったかというのが主内容だが、もう一つのポイントが下図に示す日米家計金融資産のグラフを見せて、

日米家計金融資産

  
    過去20年で米国の家計金融資産が3.1倍に伸びたのに対し日本は1.5倍。この取り返しが
  つかないほどの差は、株式や投信などの運用益の違いによって主にもたらされた。

と結論づけている部分だ。

日本の一般大衆は証券業界や、力づくで株価押上を画策する政府ヨイショの日経の提灯記事に踊らされるほど馬鹿ではない。以下は同じ期間の日経平均の推移を追ったグラフだ。

日経平均の推移

出典のBigCharts.comは世界の株価やその推移が見られる便利なアメリカのウェブサイトだ。

まるで鳴かず飛ばずですねぇ。

このグラフには出ていないが、忘れてならないことは日経平均が1989年12月29日に38,916円という未踏の高値をつけて以来その水準を一度たりとも回復したことがないことだ。

日経の記事にあるグラフが1995年末から始まっているので参考までに書いておくと、1995年
12月の終値はYahoo!ファイナンスによれば19,868.15円だ。そして2016年11月17日(つまり本日)の日経平均終値はそれより2,005.52円安の17,862.63円だ。

くり返すが日本の一般大衆は馬鹿ではない。11年たって1割以上減価しているボロ株を買って持ち続けるのに比べて、何らかの金利がつく元本保証の定期預金にしている方がほど投資効率が高いことをちゃんと理解している。金利が 0 に等しいと言ってもだ。

日本人の金融資産に株が少ないのは日本の大衆が妥当なリスクで妥当なリターンを得られる最高の投資が定期預金だという極めて合理的な判断して、そこにお金をおいておいたために他ならない。政府にあれこれ言われて値段が上がらないばかりか下がり気味の「リスク資産」を積み増しして元本を毀損している年金機構よりよほど冷静な投資判断をしているのが日本の一般大衆だ。

尚、参考までに同じ期間のアメリカの日経平均に相応するS&P 500指数の動きを見てみよう。

S&P 500指数

S&P 500指数は1995年末が$615.93、時差があるので2016年11月16日終値はとみると
$2,176.94。なんと3.53倍になっています!そりゃあアメリカの大衆が株や株式を組み入れた投信をかうわけですよ。

「利にさとい日本の一般大衆もドッと買いに回ってもおかしくない」といいたいところだが、為替リスクという問題がある。1995年12月31日の円ドルレートは103.35円だが、今日は109.24円。そんなには違わないとは言っても下図を見ればわかるとおり、その間120円を越える円安になってみたり、80円を切る円高になってみたりと結構乱高下している。賢明な日本の一般大衆としては「何が起きるかわからないから、やはり定期預金」となっても不思議はない。

円ドルレート推移

要はこの日経の記事は根拠もなく「いずれ上がるから株を買え」といっているだけで、証券会社が「株屋」と言われていた頃の証券営業マンが言っていたようなことを未だに記事として書いているだけなのだ。

こんな記事のために月間購読料4,509円払うのかと思うと腹立たしい限りだ。

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