インディアンの勝つ西部劇 – アバター映画評2010/01/22 22:35

私が子供のころの西部劇といえば必ずどこかでアワワワワと叫びながら馬に乗って矢や鉄砲を放ちながら主人公の白人のいる村か砦か幌馬車か汽車を襲うインディアンが出てきたものだ。そういう西部劇では、おおむね土壇場でインディアンは撃退されメデタシ、メデタシで映画が終わった。その後これではいかにも白人中心史観に偏りすぎているとの反省から、例えば「ダンス・ウィズ・ウルブス」のようにインディアンを駆逐することに疑問を持つ白人が出る映画が現れてきた。

アバターは地球が開拓を始めた遠い惑星パンドラに住む元々の住人ナヴィが、ナヴィに心を寄せるようになった地球人の兵士の助けを借りて、地球人を駆逐するまでの物語だ。つまりインディアンが勝つ西部劇だ(そういえばナヴィがなんとなくインディアンに似ていることに気がつく)。要するにこの一文で語ることができるほど単純なストーリーの構成なのだ。その単純なストーリーでどうやって2時間半以上観客を飽きさせず引っ張ってゆけるのか?そう、この映画はそれほど観客をあきさせない。答えは、スクリーン上で爆発が起こりカメラに向かって何かが飛んでくると、映画館のイスの上で思わず身をよじるくらいのリアルさをもつVFXと3D技術にある。これだけ技術の力で単純なストーリーを引っ張ることができるのかと唖然とした。ただ観客が3D慣れしてくると(後数年のことだ)、ストーリーの貧弱さをカバーしきれなくなってくる。そのときにはもっと内容のある作品でないとここまで観客を引っ張ることはできないだろう。

この映画を見ていてひとつ気になったのは、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」から相当の影響を受けていることが見て取れるのに、映画のどこを見てもそのことがまったく登場しなかったことだ。スタジオジブリは20世紀フォックスとジェームズ・キャメロン監督に対して訴訟を起こしても良いと思う。こいつらを相手に回すとなると相当お金が要るが、これだけの観客動員をした映画だ。勝訴すれば相当のお金が転がり込んでくること間違いない。アメリカにたくさんいる成功報酬で仕事を請け負う弁護士を起用し、弁護士には賠償金の過半が行けばよい、ジブリは訴訟を通じてその存在を世界に知らしめればよい、と割り切ってやってみる価値はある。

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_ 日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜 - 2010/01/31 20:40

数年前、年末に「いちおう押さえなくちゃ.....」レベルで見に行き、これは「そうとうヤバイ」とあせった「タイタニック」
それはもう12年前のこと.....

その監督が、満を持して送り出す3Dアドベンチャーと言えば、「映画」あるいは「劇場」の未来を占う意味でも、早々に劇場に駆け付けざるえない。
それが今作「アバター」

期待したのは、巧妙なストーリー・テリングでもなく、俳優陣でもなく、アクションでもない。
最新技術3Dを駆使して、いかに「新世界」をかいま見せるか、だ。



その結論は。。。
キャメロンの狙いは正にそこにあった。

鑑賞後、頭に残るのは、現実世界から切り離された、この「もうひとつ」の地球の自然世界。
驚異的なミクロ・コスモスを3Dの力を借り、よりリアリスティックに創造したといえよう。
主人公にとっての現実世界の絵が薄っぺらいのも明らかに「狙い」

そのリアルさ、アンリアルさを体験することによって、これを破壊しようとする「アメリカ」が明らかに「悪」と理解できる。
最近読んだ「学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史」(上)(下)にその悪夢の歴史は詳しい。
「ダンス・ウィズ・ウルヴス」と比較する人が多いのもうなずける。


決して作品として、ベスト10に入るかと問われればNO。
だが2009年の重要なトピックを3つ答えよときかれたら......

初めて意味のある3D映画「アバター」が登場、と答えよう。
ぜひ、これは劇場で「体験」していただきたい!
2009年最後を締めくくる体験に違いない.....

_ 映画を観るなら - 2010/12/28 22:51

これまたストーリーが完全にインデペンデンスデイトルーク・マクトのくだりはちょっと人間に都合良過ぎる気もしないでもないけど、最後のみんなでイェーイ!は観ててスカッとするな~。上映時間長いのにダレることが一切無くグイグイ引き込まれた。菖蒲のIMAXで視聴し..

_ 黄昏のシネマハウス - 2014/07/16 17:33


22世紀。
地球は有毒な大気におおわれていた。
人類はそれをクリアーする鉱物を遠く離れた惑星パンドラに見つける。
先住民ナヴィを手なづけてそれを得るため、人類はナヴィと人間のDNAを合わせたアバター(分身)をつくり出した。
車いす生活を送る元海兵隊員のジェイクはこのプロジェクトに参加。
アバターの肉体を得た彼は久しぶりの自由な行動に驚喜する。
いつしか彼はナヴィの娘と恋に落ちる。
やがて人類とナヴィの全面戦争が起こり、ナヴィの心を知る彼は重大な選択を迫られる。

3Dが評判の映画だが普通の字幕でみた。

製作サイドは「まず視覚的に興奮し、地球との共存や愛や友情な...

水のなるほどクイズ2010