トヨタ問題2010/02/04 01:15

私はトヨタ車(プリウス)のオーナーであり、トヨタの株主つまりオーナーの一人だ。オーナーなので今回アメリカで発生したアクセルが戻らなくなる事案については非常に関心がある。またトヨタ車に乗る身にとってトヨタの日本国内での発表「日本では異なる部品を使っているので問題は発生しない」と言う立場が本当にそうなのだろうか心配だ。

日本の新聞は自分でこの問題を分析する能力がないので例によってトヨタの発表を鵜呑みにして紙面に記事として掲載している。しかしあえて繰り返そう。本当にトヨタの発表を信じてよいのだろうか?日本の新聞からは回答がえられないので、インターネットをあちこち見て回っていたら、The Truth About Cars (TTAC)と言うアメリカのウェブサイトにたどり着いた。

このウェブサイトによれば、トヨタがアメリカで販売している車のアクセルユニットにはCTS社製 (今回問題を起こし修理の対象となっている)とデンソー製があるが、まったく設計思想が異なり使われている材質も異なる。同ウェブサイトのPaul Niedermeyerポール・ニーダーマイヤーが1/30~2/1にわたって両者を実際バラして比較した結果を4本TTACのウェブサイトにアップしている。リンクは以下のとおりだ

http://www.thetruthaboutcars.com/exclusive-ttac-takes-apart-both-toyota-gas-pedals/
http://www.thetruthaboutcars.com/toyota-gas-pedal-fix-explained-with-exclusive-photos/
http://www.thetruthaboutcars.com/toyota-gas-pedal-fix-simulated-friction-reduced-but-by-too-much/
http://www.thetruthaboutcars.com/why-toyota-must-replace-flawed-cts-gas-pedal-with-superior-denso-pedal/

ニーダーマイヤーの結論は:

デンソー製のアクセルユニットはハウジングも摺動部もプラスチックでできていてヤワに見えるが(CTSの摺動部は青銅または砲金)、むしろそれがうまく作用してアクセルの戻りを安定させている。従ってデンソー製のユニットのほうがCTS製のユニットより良品だ。トヨタはCTS製のユニットの対策に金属のシムをかますことを発表しているが、この結果アクセルを踏んだときの感覚が大きく変わる。これでよいのだろうか?トヨタがどうしてCTS製とデンソー製両方のユニットを採用しているのかわからないが、速やかにCTS製のユニットを全量デンソー製のユニットに交換すべきだ。

というものだ。尚、アメリカやカナダには「今回の問題は『アクセルユニットの問題』という機械的な問題ではなく、車載コンピューターのソフトウェアの問題」だとする説があるが、ニーダーマイヤーは今のところこれには根拠がないとしている。

日本で走っているトヨタ車にはデンソー製のアクセルユニットが搭載されていると思われるので、トヨタの「日本で走っている車は大丈夫」と言う発表には信憑性があるということになる。そうならそうでなんでトヨタは「~の理由で日本で走っている車のアクセルは大丈夫」という発表をしなかったのだろう?ヤレヤレ

ついでにいくつか指摘しておけば、金属のシム(つまりは金属の板っぺら)をチョイと挟むのと、アクセルユニットを全量交換するのとでは当然コストがまるで異なる。またトヨタは米国製品調達比率xx%と言う基準を設けて、それを達成することで米国の連邦政府や州政府から一定のご利益を得ていたはずだ。果たしてこういったちょっとした対策を施しデンソー製のユニットを採用しないことによるコストセーブや、政府のご利益を返上することによる損を回避することがトヨタにとって吉と出るのだろうか?

トヨタの対策に関する今回の選択が同社の命取りにならないことを、一株主として祈っている。

トヨタ問題 追記2010/02/04 23:53

今回の一件でトヨタの豊田章男社長がほとんど表面にでてこない。これだけの大事だというのになんでだろう?本来彼はダボス会議出席などはキャンセルして事態の収拾のため陣頭指揮を(格好だけでも良いから)していないとだめなはずだ。

もし三河の重臣団(つまりは社長のオトリマキ)が「創業家の御曹司に傷がつかぬように」などという感覚でいるとしたら、また彼がそれに乗っているとしたら、株主代表訴訟ものだ。

こういうとき日本の司法システムに集団訴訟という手段がないのが非常に歯がゆい。確かに集団訴訟は無意味な訴訟を多発させるという側面があるが、「経営陣を覚醒させるための手段」という肯定的な側面があることも見落としてはならない。

まあ放っておいてもアメリカでドンドン集団訴訟がおきるだろう、そしてトヨタが多額の和解金をアメリカの原告団に支払う事態になるだろう。何でそういう和解金を受け取れるという恩恵が、アメリカの裁判で原告団に加わっていない限り、日本の消費者にはまわってこないのか?日本の消費者はもっと怒っても良い。元々日本社会党出身の千葉景子法務大臣にはこのあたりにも注目してもらいたいものだ。

水のなるほどクイズ2010