インドの民主主義はこう動く--Bt Brinjal(遺伝子組み換えナス)の場合 ― 2010/03/12 19:33
Bt BrinjalのBtは土中に住む菌体Bacillus thuringiensisバチルス・チューリンゲンシスの略で、
Brinjalは主としてインド亜大陸で使われる英語でナスのことだ。Bt BrinjalとはBtのCry1A/C遺伝子、別な物質から分離されたNPT11、AAD遺伝子の三つの遺伝子を組み込んだ遺伝子組み換えナスのことだ。
インドは世界最初の遺伝子組み換え野菜Bt Brinjalの上市を目指して官民上げてその開発に取組んでいたが、2月9日に思わぬ番狂わせが起きた。2009年10月にMinistry of Environment
and Forests環境・森林省傘下のGenetic Engineering Approval Committee (GEAC、遺伝子工学許可委員会)がおろした遺伝子組み換えナス上市の許可を、GEACの上部組織である環境・森林省のJairam Rameshジャイラム・ラメッシュ大臣がit is my duty to adopt a [中略] moratorium on the release of Bt-brinjal, till such time independent scientific studies establish, to the
satisfaction of both the public and professionals「[前略] 私の責務は遺伝子組み換えナスの上市を、世間と専門家の納得が得られるまでの間猶予することである」と棚上げにしたのだ。
この件は、インドなりの民主主義がどのように機能するかを示す興味深いケースなので詳しく追ってみたい。論点をはっきりさせるため多少本論からはなれて技術的な内容も加えていることを了承願いたい。
遺伝子組み換えナスは2000年にインドのMaharashtra Hybrid Seed Company (Mahyco)が開発を始めた。Mahycoはインドの篤農家B. R. Barwaleバルワーレが1964年に設立した会社で、遺伝子組み換え種子製造大手である米国企業Monsantoモンサントが26%出資している。
インド料理ではナスが多用される。そのナスの生育過程で害虫により収穫が極端な場合半減するとされる。Mahycoはこの点に目をつけ、遺伝子組み換えナスの開発に着手したわけだ。遺伝子組み換えナスにBtの遺伝子を組み込むことにしたのは、
1. Btそのもの、或いはそれから抽出されたタンパク質結晶が、1920年以来生物由来の殺虫剤として使用されてきたからと、
2. Btから抽出された遺伝子が既に綿やトウモロコシを始めとした広範な遺伝子組み換え作物に利用されているからだ。
遺伝子組み換えナスの開発が進み、データの蓄積も進み、2004年にMahycoによって上市にいたる第一ステップである政府のReview Committee on Genetic Modification(RCGM。遺伝子組み換え検討委員会)に安全性データが提出され、政府の定める規定に基づきいよいよ種子の販売許可を求めるためのプロセスに入ったが、その頃からさまざまな議論がわきおこり始めた。
インド人は「ナスはインドで生まれ、過去4000年にわたり栽培されている野菜だ」として、ナスにある種の思い入れを持っている。事実インドに行くと我々の持つナスのイメージとはおよそ異なる、ウリのように薄緑色のナスや斑入りのナスやトマトのように赤いナスなどさまざまなナスに遭遇する。インドには2500種類のナスが存在すると言う。そのインド人のナスに対する思い入れを遺伝子組み換えナスが刺激したのだ。
2005年に大規模な作付け試験が実施され、2006年に環境・森林省傘下のGenetic Engineering Approval Committee (GEAC、遺伝子工学許可委員会)に安全性データが提出されたが、その頃になると農民や一般市民の間から遺伝子組み換えナスに対する疑問がわきおこり、最高裁判所が試験農場での作付けの差し止めを命令する事態となった。
差し止め命令は2007年には解除され試験のプロセスが再開され、GEACの命令により2007年から2008年にインド国内合計21ヶ所で作付け試験が行なわれ、2009年10月にGEACは遺伝子組み換えナスの上市を許可した。しかし許可が出た翌日にラメッシュ環境・森林大臣がnationwide consultation全国的な公聴会を行なうことを発表。
環境・森林省は2010年1月13日~2月6日にかけてインド全国7ヶ所で公聴会を開催。公聴会には約8000名が参加し、それとは別に約9000通の意見書が提出された。ラメッシュ大臣は同時並行でナスの生産量が多い6つの州の州首相に意見を求め回答を得たが、いずれの州も遺伝子組み換えナス導入については否定的な意思表示をした。この6州とは別に3つの州の州首相からもラメッシュ大臣に遺伝子組み換えナス導入に対し否定的な見解がよせられた。
賛成派の立場がBtは実績も多く安全であり、遺伝子組み換え作物を導入すれば農薬の使用量も減り経済性も上がるし、きちんと管理すれば生物多様性も失われないという立場であるのに対し、反対派の立場は概ね以下5点に集約される:
1. 遺伝子組み換え作物の安全性そのものに対する不安
2. インドでは「きちんと管理」など浸透させるのは困難なので、遺伝子組み換え作物が既存の植物と交雑し、4500種類あるインドのナスの生物的多様性が失われるおそれがある
3. 農民が蒔く種子の85%を農民が自分で作っているインドで、種子を購入させられることになる農村経済に大きな影響がでる
4. インドで広範に普及している遺伝子組み換え綿の例から言って、遺伝子組み換え作物であっても害虫に耐性ができるので、長い目でみれば農薬の使用量が減らない
5. 外国企業であるモンサントに技術を独占されることに対する不安・不満
「遺伝子組み換えナスは植物多様性維持の見地から反対」とするインド植物学界の重鎮、インドの「緑の革命」の父でWorld Food Prizeの第一回受賞者となったM. S. Swaminathanスワミナータン博士が反対派についたことが強みになった。
ラメッシュ大臣が2010年2月9日に出した棚上げ決定は、このような展開を踏まえたものだ。
当然「政府の決めたルールを守っても上市できないようでは、インドの企業家はどうしたらよいのだ」とか、「そもそもBtの安全性は世界中で確認されているのに何でこのようなことになったのか」といった趣旨の声がわきおこった。その一方、私の見た限りでは「これはインド民主主義の勝利だ」と手放しで喜ぶ報道は少数で、むしろ大勢は事実をそのまま報道したうえで「さてこれからどうするか」といった感じだ。
興味深いのは政府の決定に不服な人たちが海外メディア、なかんずくアメリカの経済紙The Wall Street Journal (WSJ) に論説を寄稿し、それが同紙に掲載されているところだ。これらの人々はせめて外圧をかけようとしているのだろう。国際メディアでこの種の論説が続々と掲載されたのがWSJだけであったとか、同紙に反対派の意見が掲載されなかったところをみると、WSJが遺伝子組み換え作物業界の立場を代弁していると言われてもしようがないだろう。
一方インド政府内ではMinistry of Agriculture農業省や、傘下にDepartment of Biotechnologyバイオテクノロジー局をもつMinistry of Science and Technology科学技術省のような遺伝子組み換え作物の積極推進派がいる。農業大臣のSharad Pawarパワール大臣がGEACのExpert
Committee II第二次専門家委員会の委員長Dr Arjula Reddyレディー博士に圧力をかけたとか、科学技術省担当のPrithviraj Chauhanチョーハン大臣が遺伝子組み換えナスに対する疑問を呈示したAnbumani Ramadossラマドス元保健大臣に出した手紙の内容がInternational Service for the Acquisition of Agri-Biotech Applications(ISAAA、国際農業バイオテク技術取得サービス)と言う国際的な業界団体の刊行物をそのまま利用していたとか言った不都合な事実も報道されている。この結果、両大臣とも遺伝子組み換え業界から各種の働きかけを受けたのではないかと疑われることになった。
そのような批判には無頓着に科学技術省は「GEACが環境・森林省傘下にあることこそ問題」として、この際一気にバイオ関係の許認可を自分の省の傘下にしようと今国会にBiotechnology
Regulatory Authority of India (BRAI) Bill of 2009インド・バイオテクノロジー管理機構法の法案を上程している。更にその法案には「条文に示される化合物について科学的根拠のない流言を流すものには最長1年の懲役または20万ルピー(約40万円)の罰金またはその両方を科す事ができる」と言う条文をつけた。原則的には言論の自由が存在するインドでは、このような条文を持つ法律は大変な議論を呼ぶことになるだろう。
素人考えでは2005年に大規模作付け試験に踏み切ってから2006年にもう許可申請とか、申請内容のチェック期間が1年というのは、二毛作を想定しても遺伝子組み換え作物の場合チェック不足ではないかと言う気がする。しかし、このペースは国際的な常識の範囲内で、インドの速度は決して異常ではないようだ。むしろ問題は試験の項目や実施手法で、インド国内で技術的な議論を提起している向きはこの点を突いている。
このプロセスを通して見ているとラメッシュ大臣は遺伝子組み換えナスの認可に徐々に消去的になって行ったような印象を受ける。そして「ラメッシュ大臣は自分の消極性を補強するために問題を公にし、一般の声を吸い上げるジェスチャーをしたのではなかろうか」という指摘もできよう。大臣が集めた8000人の「一般の声」が、参加者の構成を見ると実際の農民はその約半数程度という状況で、「はたしてこれでインドの全人口の6割近くを占める農業人口の意見を反映しているのか」という指摘もできる。しかしこれに対しては「公聴会など、どこの国でもそんなものだ」という反論もできよう。
いずれにせよ、この一件はインドは閣内不一致や反対意見が外から見える国であり、「一般市民の声」なるものが政治家を動かし、政府の決めたことがひっくり返しうる国だということを我々に見せてくれる。
以前あるところで会ったモンサントの社員に「これから人体にはどんどん人造のパーツが組み込まれることになり、近い将来人間であるか人造人間であるかを判定する必要が現れ、その際の基準は体に組み込まれている人造のパーツの比率となるだろう」と言われゾッとしたことがある。そのような感覚を持っている私なので、遺伝子組み換え作物を食用に利用する場合、その影響を何世代にもわたってチェックしてから上市を認めるべきであると考えている。そのような私は今回の「インドの民主主義」の成果には、プロセスが妥当であったどうかの議論以前に拍手を送りたい。
Brinjalは主としてインド亜大陸で使われる英語でナスのことだ。Bt BrinjalとはBtのCry1A/C遺伝子、別な物質から分離されたNPT11、AAD遺伝子の三つの遺伝子を組み込んだ遺伝子組み換えナスのことだ。
インドは世界最初の遺伝子組み換え野菜Bt Brinjalの上市を目指して官民上げてその開発に取組んでいたが、2月9日に思わぬ番狂わせが起きた。2009年10月にMinistry of Environment
and Forests環境・森林省傘下のGenetic Engineering Approval Committee (GEAC、遺伝子工学許可委員会)がおろした遺伝子組み換えナス上市の許可を、GEACの上部組織である環境・森林省のJairam Rameshジャイラム・ラメッシュ大臣がit is my duty to adopt a [中略] moratorium on the release of Bt-brinjal, till such time independent scientific studies establish, to the
satisfaction of both the public and professionals「[前略] 私の責務は遺伝子組み換えナスの上市を、世間と専門家の納得が得られるまでの間猶予することである」と棚上げにしたのだ。
この件は、インドなりの民主主義がどのように機能するかを示す興味深いケースなので詳しく追ってみたい。論点をはっきりさせるため多少本論からはなれて技術的な内容も加えていることを了承願いたい。
遺伝子組み換えナスは2000年にインドのMaharashtra Hybrid Seed Company (Mahyco)が開発を始めた。Mahycoはインドの篤農家B. R. Barwaleバルワーレが1964年に設立した会社で、遺伝子組み換え種子製造大手である米国企業Monsantoモンサントが26%出資している。
インド料理ではナスが多用される。そのナスの生育過程で害虫により収穫が極端な場合半減するとされる。Mahycoはこの点に目をつけ、遺伝子組み換えナスの開発に着手したわけだ。遺伝子組み換えナスにBtの遺伝子を組み込むことにしたのは、
1. Btそのもの、或いはそれから抽出されたタンパク質結晶が、1920年以来生物由来の殺虫剤として使用されてきたからと、
2. Btから抽出された遺伝子が既に綿やトウモロコシを始めとした広範な遺伝子組み換え作物に利用されているからだ。
遺伝子組み換えナスの開発が進み、データの蓄積も進み、2004年にMahycoによって上市にいたる第一ステップである政府のReview Committee on Genetic Modification(RCGM。遺伝子組み換え検討委員会)に安全性データが提出され、政府の定める規定に基づきいよいよ種子の販売許可を求めるためのプロセスに入ったが、その頃からさまざまな議論がわきおこり始めた。
インド人は「ナスはインドで生まれ、過去4000年にわたり栽培されている野菜だ」として、ナスにある種の思い入れを持っている。事実インドに行くと我々の持つナスのイメージとはおよそ異なる、ウリのように薄緑色のナスや斑入りのナスやトマトのように赤いナスなどさまざまなナスに遭遇する。インドには2500種類のナスが存在すると言う。そのインド人のナスに対する思い入れを遺伝子組み換えナスが刺激したのだ。
2005年に大規模な作付け試験が実施され、2006年に環境・森林省傘下のGenetic Engineering Approval Committee (GEAC、遺伝子工学許可委員会)に安全性データが提出されたが、その頃になると農民や一般市民の間から遺伝子組み換えナスに対する疑問がわきおこり、最高裁判所が試験農場での作付けの差し止めを命令する事態となった。
差し止め命令は2007年には解除され試験のプロセスが再開され、GEACの命令により2007年から2008年にインド国内合計21ヶ所で作付け試験が行なわれ、2009年10月にGEACは遺伝子組み換えナスの上市を許可した。しかし許可が出た翌日にラメッシュ環境・森林大臣がnationwide consultation全国的な公聴会を行なうことを発表。
環境・森林省は2010年1月13日~2月6日にかけてインド全国7ヶ所で公聴会を開催。公聴会には約8000名が参加し、それとは別に約9000通の意見書が提出された。ラメッシュ大臣は同時並行でナスの生産量が多い6つの州の州首相に意見を求め回答を得たが、いずれの州も遺伝子組み換えナス導入については否定的な意思表示をした。この6州とは別に3つの州の州首相からもラメッシュ大臣に遺伝子組み換えナス導入に対し否定的な見解がよせられた。
賛成派の立場がBtは実績も多く安全であり、遺伝子組み換え作物を導入すれば農薬の使用量も減り経済性も上がるし、きちんと管理すれば生物多様性も失われないという立場であるのに対し、反対派の立場は概ね以下5点に集約される:
1. 遺伝子組み換え作物の安全性そのものに対する不安
2. インドでは「きちんと管理」など浸透させるのは困難なので、遺伝子組み換え作物が既存の植物と交雑し、4500種類あるインドのナスの生物的多様性が失われるおそれがある
3. 農民が蒔く種子の85%を農民が自分で作っているインドで、種子を購入させられることになる農村経済に大きな影響がでる
4. インドで広範に普及している遺伝子組み換え綿の例から言って、遺伝子組み換え作物であっても害虫に耐性ができるので、長い目でみれば農薬の使用量が減らない
5. 外国企業であるモンサントに技術を独占されることに対する不安・不満
「遺伝子組み換えナスは植物多様性維持の見地から反対」とするインド植物学界の重鎮、インドの「緑の革命」の父でWorld Food Prizeの第一回受賞者となったM. S. Swaminathanスワミナータン博士が反対派についたことが強みになった。
ラメッシュ大臣が2010年2月9日に出した棚上げ決定は、このような展開を踏まえたものだ。
当然「政府の決めたルールを守っても上市できないようでは、インドの企業家はどうしたらよいのだ」とか、「そもそもBtの安全性は世界中で確認されているのに何でこのようなことになったのか」といった趣旨の声がわきおこった。その一方、私の見た限りでは「これはインド民主主義の勝利だ」と手放しで喜ぶ報道は少数で、むしろ大勢は事実をそのまま報道したうえで「さてこれからどうするか」といった感じだ。
興味深いのは政府の決定に不服な人たちが海外メディア、なかんずくアメリカの経済紙The Wall Street Journal (WSJ) に論説を寄稿し、それが同紙に掲載されているところだ。これらの人々はせめて外圧をかけようとしているのだろう。国際メディアでこの種の論説が続々と掲載されたのがWSJだけであったとか、同紙に反対派の意見が掲載されなかったところをみると、WSJが遺伝子組み換え作物業界の立場を代弁していると言われてもしようがないだろう。
一方インド政府内ではMinistry of Agriculture農業省や、傘下にDepartment of Biotechnologyバイオテクノロジー局をもつMinistry of Science and Technology科学技術省のような遺伝子組み換え作物の積極推進派がいる。農業大臣のSharad Pawarパワール大臣がGEACのExpert
Committee II第二次専門家委員会の委員長Dr Arjula Reddyレディー博士に圧力をかけたとか、科学技術省担当のPrithviraj Chauhanチョーハン大臣が遺伝子組み換えナスに対する疑問を呈示したAnbumani Ramadossラマドス元保健大臣に出した手紙の内容がInternational Service for the Acquisition of Agri-Biotech Applications(ISAAA、国際農業バイオテク技術取得サービス)と言う国際的な業界団体の刊行物をそのまま利用していたとか言った不都合な事実も報道されている。この結果、両大臣とも遺伝子組み換え業界から各種の働きかけを受けたのではないかと疑われることになった。
そのような批判には無頓着に科学技術省は「GEACが環境・森林省傘下にあることこそ問題」として、この際一気にバイオ関係の許認可を自分の省の傘下にしようと今国会にBiotechnology
Regulatory Authority of India (BRAI) Bill of 2009インド・バイオテクノロジー管理機構法の法案を上程している。更にその法案には「条文に示される化合物について科学的根拠のない流言を流すものには最長1年の懲役または20万ルピー(約40万円)の罰金またはその両方を科す事ができる」と言う条文をつけた。原則的には言論の自由が存在するインドでは、このような条文を持つ法律は大変な議論を呼ぶことになるだろう。
素人考えでは2005年に大規模作付け試験に踏み切ってから2006年にもう許可申請とか、申請内容のチェック期間が1年というのは、二毛作を想定しても遺伝子組み換え作物の場合チェック不足ではないかと言う気がする。しかし、このペースは国際的な常識の範囲内で、インドの速度は決して異常ではないようだ。むしろ問題は試験の項目や実施手法で、インド国内で技術的な議論を提起している向きはこの点を突いている。
このプロセスを通して見ているとラメッシュ大臣は遺伝子組み換えナスの認可に徐々に消去的になって行ったような印象を受ける。そして「ラメッシュ大臣は自分の消極性を補強するために問題を公にし、一般の声を吸い上げるジェスチャーをしたのではなかろうか」という指摘もできよう。大臣が集めた8000人の「一般の声」が、参加者の構成を見ると実際の農民はその約半数程度という状況で、「はたしてこれでインドの全人口の6割近くを占める農業人口の意見を反映しているのか」という指摘もできる。しかしこれに対しては「公聴会など、どこの国でもそんなものだ」という反論もできよう。
いずれにせよ、この一件はインドは閣内不一致や反対意見が外から見える国であり、「一般市民の声」なるものが政治家を動かし、政府の決めたことがひっくり返しうる国だということを我々に見せてくれる。
以前あるところで会ったモンサントの社員に「これから人体にはどんどん人造のパーツが組み込まれることになり、近い将来人間であるか人造人間であるかを判定する必要が現れ、その際の基準は体に組み込まれている人造のパーツの比率となるだろう」と言われゾッとしたことがある。そのような感覚を持っている私なので、遺伝子組み換え作物を食用に利用する場合、その影響を何世代にもわたってチェックしてから上市を認めるべきであると考えている。そのような私は今回の「インドの民主主義」の成果には、プロセスが妥当であったどうかの議論以前に拍手を送りたい。
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