サルコジ大統領、福島第一原発対策協議のため急遽来日2011/04/01 23:43

3月31日、原発大国フランスのサルコジ大統領が自分が主催する中国の人民元に関する会議で南京に来たついでに、急遽予定を変更して足を伸ばして日本にやってきた。「鴨がネギをしょってきた。このチャンスを活かせ!」とばかりに、日本でサルコジ大統領は国策企業Arevaの処理サービスを売込んで行ったが、このサービス日本は買わざるを得ないだろう。

「またフランスの国策企業に日本の産業が助けてもらうのかい」と複雑な気持ちになったりする以前に、二つほど考えておくべき事がある。

サルコジ大統領は決して善意やArevaのサービスの売込みのみで来日したわけではない。彼は「これは『フランスの原発技術は一流、日本の技術はフランスに及ばない』と言う印象が世界に定着させられるチャンス」をみたから、予定を変更して来日する価値をみいだしたのだ。まあ一国の大統領なのに、なんと商売のセンスがあることよ。 この辺は日本の経済人や官僚も気づいているだろう。

もう一点。世界の原発業界にあって、我々は

日本には「原発」と言う商品のメーカーはいても、フランスのように「原発のトラブル処理」というサービスを売り物にしている会社がない

ということに着目すべきだ。モノヅクリ日本ですねぇ。しかし原発という商品はフランスだけではない、ロシアや中国の会社とも販売競争を余儀なくされる商品だ。こんな相手と戦う商品は「いつまでも価格競争に巻き込まれて採算が好転しない」運命にある。一方フランス。原発も売るが、「使用済み核燃料の処理」やら「原発のトラブル処理」サービスも提供している。「保証期間内なら、純正部品で機器の不調を直してあげます」といった自動車程度のサービスの話ではない。世界でほぼ唯一のサービスだ(ちなみにこの使用済み核燃料の処理サービスはモノヅクリの国ドイツも買っている。日独ってホント似てるんですよねぇ)。当然お代は「お困りでしょうからそんなにはとりません」とか言いながら言い値がとれる。これは儲かりまっせぇ。東芝や日立の株主や、原発立国日本の原子力開発政策を考えているはずの経済産業省の官僚はこのことをよく考えておいたほうがよい。

「モノヅクリ日本」とか言って陶酔している場合ではない。これからの世界、フランスの場合のように、他人には追随できないサービスでお金を稼ぐ方法のほうが重要だ。

コメント

_ 奔放な旅人 ― 2011/04/02 09:02

こんにちは。

色んな思惑はあるでしょうが、国家元首自ら来ると言う事は、危機意識の違いでしょう。
何処かの国の「かん」とか言う国家元首は危機感ゼロですしね。
今日2日は津波被災地の岩手県陸前高田市へ視察という名目の事実上のパフォーマンスを
しに行き、その後福島原発らしいですし。
腰を置いて対処しないで分刻みで移動する。
これをパフォーマンスと言わず何と言うのでしょうね。

駄文失礼しました。

_ 玉川雅章 ― 2011/04/02 21:19

震災は眠っていた、冬眠の熊さんを起こしてしまったようで、続いての投稿大歓迎です。
私の専門の分野、携帯電話でも同じことが起こっています。
日本の携帯電話はカメラとか、付属機能で日本の顧客を満足させることに血道をあげていて、いつのまにか、基本的なグローバルな仕組みを満足させる「誰とでも話せる」という基本を忘れている。
結果として、シャープ・パナソニック・NEC等は世界の5位までのノキア・エリクソン・モトローラ・サムソン・LGから大きく引き離されています。韓国の2社は、昔は子供扱いされていたはずですが・・・・フランスの元気が良いのは、本当に数少ない分野で、確かにフランスの力を見せるのは、ここしかないという意気込みが感じられますね。 でも、何となく応援したくなるのは、どうした訳でしょう???

_ Mumbaikar ― 2011/04/03 18:26

奔放な旅人さん: 危機意識の違いという点は誠にもっともだと思います。パーフォーマンス倒れの部分。テレビに登場する政府関係者や東電関係者が現場から遠く離れた東京でテレビに映る際皆作業服姿なのにも意味のないパーフォーマンスを感じますね。

玉川雅章さん: 日本の場合伝統的に「あれもこれもやっているうちに自然発生的に強みが出てくるので、なんとなくそこに資源を集中してゆく」というやり方であるような気がします。そのため「自然発生的に強みが出てこない」場合、「現場のヤル気を殺ぎたくない」となんとなくやめにくくてズルズルやっている。「選択と集中」はなかなか定着しそうにありませんね。

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