検察の小沢氏に対する捜査雑感 ― 2009/03/19 21:05
民主党代表小沢一郎氏の政治資金問題については諸説ある中で「自民党の差し金の政策捜査」説と「検察暴走」説がそれなりの説得力を持っていると思う。「検察青年将校暴走説」というのもあるようだが、これは後者の一変種と考えておけばよかろう。
政策捜査説にたって体系だてて自説を展開しているのは「世に倦む日日」ブログの3/15~3/18の一連の記事あたりだろう http://critic6.blog63.fc2.com/ 。ただ「世に倦む日日」ブログの説は「小沢一郎の代表辞任を確信した夜」といったタイトルからわかるとおり状況証拠に依拠した感覚的な説明が多い。いろいろ「これからこうなる」という予想を書いているのでブログで語られる感覚を事象がどうフォローするのか興味深いところだ。
暴走説の代表的なものは元検事の弁護士郷原信郎氏が3/11と3/17の日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/ で展開しているものだろう。氏は実務者として政治資金規正法に照らして小沢氏の法律違反の立証は困難であると思われることを指摘した上で、今回の捜査は検察当局が思慮もなく開始した組織ぐるみの行動で、その結果捜査のしかたが稚拙で、その稚拙さを糊塗するために検察当局が新聞報道のネタになるリークを続けていると指摘し、与野党とも「政治資金規正法の『大穴』をふさぐための立法措置を行うなど、これ政治資金の透明化に向けての具体的な方策を講じ」るべきだと結論付けている。
ちなみに3/18付の「世に倦む日日」ブログでは「議論の中身に立ち入ると首を傾げざるを得ない主張が縷々並べられている」との郷原説批判も展開されている。
話が飛ぶが「財団法人ジョン万次郎ホイットフィールド記念国際草の根交流センター」という長ったらしい名前の組織がある。会長は小沢一郎氏だ(理事長は引退した外務官僚)。1991年以来ほぼ毎年日米交代で「日米草の根交流サミット大会」というものを開催している団体だ。東京で開催された第一回の頃はまだ日米貿易戦争が継続していて、アメリカ側の「草の根」として招待された人々の中には日米貿易戦争のアメリカ側ウルサ方の家族がまじっていた。何でそんなことを知っているかといえばアメリカの取引先の社長がまさにそのウルサ方で、彼の娘(当時小学生)が招待されていて、娘についてきた父親がサミット大会の歓迎パーティーなどに参加してそのときの話を聞かせてくれたからである。パーティーの翌日に父親に当日交換した名刺を見せてもらった。建設業が多い!(別にごウルサ方ご当人の会社は建設業関係ではない)。彼にきかれた
Who’s Ozawa?
オザワって誰だ?
当時小沢氏は自民党の幹事長を辞めたとはいえ自民党の大実力者であったのでその旨説明し、何で小沢氏に興味があるのか聞くと、パーティーに小沢氏が来ていて、名刺交換した建設業のエライ人たちが次々と小沢氏のところへいってpaying tribute to him like a king(まるで王様に接するように挨拶していた)からだとのことであった。今回検察が小沢氏に焦点を当てることができたのもこの建設業との浅からぬ因縁があったからだろう。
私は今回の一件で小沢氏は間違いなくグレーゾーンに存在しているとは思う。ただグレーであることと、法律に照らして違法行為があったこととは違う。
小沢氏のような手練の者ともなれば弁護士やら選挙専門家も入れて検討しつくしていて、グレーではあっても法的にはスレスレでクロではない状況を作っているはずだ。政治資金の授受について違法になるようなドジは踏んでいないだろう(ドジを踏むようでは小沢氏は民主党代表の資格がない)。小沢氏が政治資金は適法に処理していると自信を持って語っているのにはこの背景があるからだろう。
しかし日本の恐ろしいところは行政当局が法律以上のことを恣意的に要求できる点にある。
恣意的を言い換えれば「任意のタイミングに任意の内容で」だ。おそらく小沢氏の一件が裁判に持ち込まれても結果は「なぁ~んだ」程度のことに終わるだろう。法律的に引っ掛けられる問題が大して存在しなければ「なぁ~んだ」になって当然だ。しかしこの一件が持ち出されたタイミングがなんとも自民党の政治的意図を感じさせる、いわば「李下に冠を正す」タイミングであることも事実だ。「世に倦む日日」ブログの論はこの点を根拠にしている。
しかしその「な~んだ」に行き着く過程で小沢氏側が行政当局の呈示する法律を越える要求に応えきれない場合、検察当局が自己の要求を正当化するため、新聞に対するリークなどを通じて世論を操作し小沢氏の政治生命に影響を与える事態を作り出す可能性は十分存在する。小沢氏もグレーだが検察当局がやることもまたグレーなのである。
政府が法律を越える要求をつきつけてくる事態は確かにアメリカや西欧でも起こりはする。しかし、法治主義の国で行政当局が法律に書いていないことを強制したり、後付けでルールを決めたり、マスコミに対するリークを通じて世論操作をするのはヨクヨクのときだと思ったほうが良い。ちなみに今回の世界同時不況ではアメリカでもイギリスでも政府がこれまで結んだ契約を反故にしたりしているが、このような非常手段にうったえること自体それだけ事態が深刻だということは認識しておくべきだ。日本ほど法律を越える官の恣意性が頻繁に働く状況ではない。
政策捜査説にたって体系だてて自説を展開しているのは「世に倦む日日」ブログの3/15~3/18の一連の記事あたりだろう http://critic6.blog63.fc2.com/ 。ただ「世に倦む日日」ブログの説は「小沢一郎の代表辞任を確信した夜」といったタイトルからわかるとおり状況証拠に依拠した感覚的な説明が多い。いろいろ「これからこうなる」という予想を書いているのでブログで語られる感覚を事象がどうフォローするのか興味深いところだ。
暴走説の代表的なものは元検事の弁護士郷原信郎氏が3/11と3/17の日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/ で展開しているものだろう。氏は実務者として政治資金規正法に照らして小沢氏の法律違反の立証は困難であると思われることを指摘した上で、今回の捜査は検察当局が思慮もなく開始した組織ぐるみの行動で、その結果捜査のしかたが稚拙で、その稚拙さを糊塗するために検察当局が新聞報道のネタになるリークを続けていると指摘し、与野党とも「政治資金規正法の『大穴』をふさぐための立法措置を行うなど、これ政治資金の透明化に向けての具体的な方策を講じ」るべきだと結論付けている。
ちなみに3/18付の「世に倦む日日」ブログでは「議論の中身に立ち入ると首を傾げざるを得ない主張が縷々並べられている」との郷原説批判も展開されている。
話が飛ぶが「財団法人ジョン万次郎ホイットフィールド記念国際草の根交流センター」という長ったらしい名前の組織がある。会長は小沢一郎氏だ(理事長は引退した外務官僚)。1991年以来ほぼ毎年日米交代で「日米草の根交流サミット大会」というものを開催している団体だ。東京で開催された第一回の頃はまだ日米貿易戦争が継続していて、アメリカ側の「草の根」として招待された人々の中には日米貿易戦争のアメリカ側ウルサ方の家族がまじっていた。何でそんなことを知っているかといえばアメリカの取引先の社長がまさにそのウルサ方で、彼の娘(当時小学生)が招待されていて、娘についてきた父親がサミット大会の歓迎パーティーなどに参加してそのときの話を聞かせてくれたからである。パーティーの翌日に父親に当日交換した名刺を見せてもらった。建設業が多い!(別にごウルサ方ご当人の会社は建設業関係ではない)。彼にきかれた
Who’s Ozawa?
オザワって誰だ?
当時小沢氏は自民党の幹事長を辞めたとはいえ自民党の大実力者であったのでその旨説明し、何で小沢氏に興味があるのか聞くと、パーティーに小沢氏が来ていて、名刺交換した建設業のエライ人たちが次々と小沢氏のところへいってpaying tribute to him like a king(まるで王様に接するように挨拶していた)からだとのことであった。今回検察が小沢氏に焦点を当てることができたのもこの建設業との浅からぬ因縁があったからだろう。
私は今回の一件で小沢氏は間違いなくグレーゾーンに存在しているとは思う。ただグレーであることと、法律に照らして違法行為があったこととは違う。
小沢氏のような手練の者ともなれば弁護士やら選挙専門家も入れて検討しつくしていて、グレーではあっても法的にはスレスレでクロではない状況を作っているはずだ。政治資金の授受について違法になるようなドジは踏んでいないだろう(ドジを踏むようでは小沢氏は民主党代表の資格がない)。小沢氏が政治資金は適法に処理していると自信を持って語っているのにはこの背景があるからだろう。
しかし日本の恐ろしいところは行政当局が法律以上のことを恣意的に要求できる点にある。
恣意的を言い換えれば「任意のタイミングに任意の内容で」だ。おそらく小沢氏の一件が裁判に持ち込まれても結果は「なぁ~んだ」程度のことに終わるだろう。法律的に引っ掛けられる問題が大して存在しなければ「なぁ~んだ」になって当然だ。しかしこの一件が持ち出されたタイミングがなんとも自民党の政治的意図を感じさせる、いわば「李下に冠を正す」タイミングであることも事実だ。「世に倦む日日」ブログの論はこの点を根拠にしている。
しかしその「な~んだ」に行き着く過程で小沢氏側が行政当局の呈示する法律を越える要求に応えきれない場合、検察当局が自己の要求を正当化するため、新聞に対するリークなどを通じて世論を操作し小沢氏の政治生命に影響を与える事態を作り出す可能性は十分存在する。小沢氏もグレーだが検察当局がやることもまたグレーなのである。
政府が法律を越える要求をつきつけてくる事態は確かにアメリカや西欧でも起こりはする。しかし、法治主義の国で行政当局が法律に書いていないことを強制したり、後付けでルールを決めたり、マスコミに対するリークを通じて世論操作をするのはヨクヨクのときだと思ったほうが良い。ちなみに今回の世界同時不況ではアメリカでもイギリスでも政府がこれまで結んだ契約を反故にしたりしているが、このような非常手段にうったえること自体それだけ事態が深刻だということは認識しておくべきだ。日本ほど法律を越える官の恣意性が頻繁に働く状況ではない。
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