訂正2009/10/31 21:25

10/28にこのブログのある読者から「インドの神々、インドのお酒」
http://mumbaikar.asablo.jp/blog/2009/10/21/4645651
に関して以下のようなコメントを頂戴した(実名のコメントで、実名のままアップしてよいのか確認が取れていないので、名前抜きで掲載する)。

<キリンホールディングスの売り上げ=〈23兆円〉とありますが、これは、〈2,3兆円〉ではないでしょうか>

すみません、ご指摘のとおりキリンホールディングスの売上は2.3兆円です。ご指摘どうもありがとうございました。

ついでに書くと、ビール製造のUnited Breweriesとスピリッツ製造のUnited Spirits両社の本年3月末売上を単純合算すると55.7兆ルピー(105.8兆円)ではなく、United Breweriesが198億ルピー、United Spiritsが557億ルピーの、両社単純合算で755億ルピーだ。これは本年3月末のインド・ルピー/日本円の交換レートで換算すると1420億円となりキリンには遠く及ばない。

ちなみに東南アジアのビールメーカーとして有名なフィリピンのSan Miguel Corporationの飲料部門の売上は昨年末現在で786億フィリピン・ペソ、円換算すると1503億円で、United Breweriesグループはサン・ミゲルにも及んでいないことがわかる(エスニック料理店のメニューによくのっているタイのSinghaシンハは非上場のため詳細不明)。ウッカリしてUnited Breweriesのアニュアル・レポートにある数字の小数点をカンマと読んだため、数字を三桁間違えたようだ。

誤ったデータを記載したことにつき読者の皆様にお詫びします。

従い「インドの神々、インドのお酒」の最後の段落は以下のように訂正させていただきます:

↓ ↓ ↓

インドには国内で圧倒的なシェアを持つUBグループと言う酒類のメーカーがある(同社のKingfisherビールは日本のほとんどのインド料理店においてある)。同社はグループとしての連結財務諸表を公表していないが、ビール製造のUnited Breweriesとスピリッツ製造のUnited Spirits両社の本年3月末売上を単純合算すると755億ルピー(1420億円)だ。昨年末売上2.3兆円のキリンホールディングスには遠く及ばないが、アジア各地でビール工場を展開するフィリピンのSan Miguel Corporation(昨年末の飲料部門売上786億フィリピン・ペソ、邦貨換算1504億円)並の企業グループだ。

United Spiritsは2007年にスコッチの名門Whyte & Mackeyを買収している。何でこんな会社がCashew Fennyをインド全国で展開するようインド政府に働きかけないのかとか、品質にてこ入れして世界的なブランドにしようとようとしないのかとか疑問が残るが、これはおそらく

(1) このような大資本の参入を好まないFenny製造業者たちがインド政府にアレコレ働きかけるので、そんなことにイチイチかかずらわってはいられないという計算と、

(2) UBが世界の飲料販売業者の中ではまだまだ中小で、インドでも一般的でないお酒をかついで世界の市場開拓をするよりは目先もっと儲かる仕事がある、という計算が働いているのではないかと推測している。

しかしその様な計算が働いている割には格安運賃の航空会社を買収して、2008年3月末の貸借対照表に97億ルピー(241億円)の累損を計上したりして、UBグループのVijay Mallya会長の経営判断力には若干疑問を持たざるを得ない。

United Spiritsのアニュアルレポートには

<With over 50% of India’s 1.2 billion population not having yet achieved legal drinking age, the industry is currently witnessing a demographic window of opportunity with large number of first time consumers entering the market.
インドの人口12億の内50%以上がアルコール飲料を飲める法定年齢に到達していない状況下、われわれの産業は非常に多数の初めての[アルコール飲料]消費者が市場に参入してくるという、人口に起因する発展の機会に臨んでいる。>

とのMallya会長の報告が掲載されている。人口の停滞する日本や、欧米のアルコール飲料メーカーには、このような機会はインドのような市場に打って出ない限り与えられていない。Mallya会長が自分で認識しているこの発展の機会を積極的に活用しない限り、UBグループの圧倒的なインド市場支配力は、市場が拡大してゆく過程で成長が見込めない市場にあきたらない外資系の参入によって蚕食される可能性なしとはいえない。

そのような時代になると存外ひっそりとゴア州で製造されていたFennyに日の目が当たる日が来るのかもしれない。

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