英語は難しい--「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」再々々訪2013/04/20 02:13

このブログで「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(原題Those Foolish Thingsが映画のヒットの結果だろう、映画にあわせてThe Best Exotic Marigold Hotel に改題されている)の著者
Deborah Moggachをカタカナで「デボラ・モガッチ」と書いた。
http://mumbaikar.asablo.jp/blog/2013/04/12/6775075

ところがハヤカワ文庫が発行している翻訳本(映画の日本封切りにあわせて発行されており、邦題は映画と同じ「マリゴールド・ホテルで会いましょう」)では著者名を「デボラ・モガー」と記載している。ちなみにMoggachの小説Tulip Feverも邦題「チューリップ熱」で翻訳が白水社から出版されており、ここでも著者名はデボラ・モガーとなっている。

マズイ。だけど本当にモガーなんだろうか?

ところがこれがインターネットであちこち調べてもどうもハッキリしない。英国のウェブサイト
http://www.theanswerbank.co.uk/Arts-and-Literature/Question302703.html
でも「Moggachはどう発音するのか」という質問に対してあれこれ回答があり、元々スコットランドの部族名なのでchの部分を作曲家のBach(バッハ)のchのような感じでモガッハと発音するのだというあたりで落ち着いているくらいだ。ちなみに別なサイトではモガーだと書かれていたり、アメリカの新聞には「モガッシュと発音されるそうだ」と書かれていたり。

ヨーロッパのほとんどの言語は、その言語固有のルールを知っていればローマ字表記通りに読めばそれですむ。例えば南仏の都市Niceはフランス語でceを「ス」と発音するというルールを知っていればニースを読め、ナイスには絶対ならない。マルクスの生まれたフランス国境に近いドイツのTrier市はドイツ語でerを「アー」と発音することを知っていればトリアーと読める。ところが英語はルール通りに事が運ばないのでHerefordとかLeicesterなどという難読地名が出てくる(前者は「ヒヤフォード」ではなく「ヘレフォード」、後者は「ライセスター」ではなく「レスター」)。ひどいのは本来フランス語の名詞であるBeauchamp(フランス語ではeauを「オー」と発音し、chを「シ」と発音する決まりなのでボーシャン)という地名を「ビーチャム」とよませるケースだ。1960年台のイギリスのHome首相は「ホーム」首相ではなく「ヒューム」首相だ。このあたり難読の読みがはびこる日本語と似ている。英米同一地名の場合、Birminghamがイギリスではバーミンガム、アメリカではバーミングハムとか、Walthamがイギリスではウォルサム、アメリカではウォルトハムとアメリカのほうが綴りに忠実に発音される傾向にあるのは興味深い。

脱線したが、作家のDeborah Moggachには http://www.deborahmoggach.com/ というウェブサイトがあり、そこに連絡先のメールアドレスが記載されていたので、問い合わせのメールを出してみたがサイトから弾き返されてしまった。困った。

コメント

_ Mumbaikar ― 2013/04/21 13:40

表示していないが「わたくしの感覚では,メチャクチャだよ英語,です。他の言葉とくらべると,表記と発音との決まりがほとんどなく,難しいと言うより,コマッタもんだと。 」というコメントを頂戴しているのでひとこと。

英語はその実ケルト語、ドイツ語に近いアングロサクソン系の言語、フランス語に近いノルマン系の言語の寄せ集めで、その結果一つの概念にいくつかの呼び方があったりする。例えば「森」を英語ではwoods(ドイツ語ではwald)ともforest(フランス語ではforet)ともいう、という具合だ。これはBritish
Isles英国諸島が様々な民族の侵略を受け、その結果現在の英語が成立しているからで、従い文法のほうもあれこれ混入した結果ルールがおよそ存在しない状態だ(何で例えばヨーロッパの中央にあって、アチコチの侵略を受けているはずのフランスの言葉が英語のようなことにならなかったのか言語学者の説をきいてみたい)。ただ大きな特性は「ルールはないも同然だが、文法を無視すればある程度のことは何とか通じさせることができる」というアバウトさがあるところではないかと思う。

ただそのアバウトさに甘えてはいけない。英語はその言葉の使い方次第で、使い手の教養や出自を相手に比較的容易に伝えてしまうからだ。

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